クライアントインタビュー

 株式会社リンク・インタラック 本部G企画室 室長 兼 株式会社リンクジャパンキャリア事業企画グループ グループマネジャーの岡元正久様にRPAの取組みについて伺いました。

 

―貴社の事業内容について教えていただけますか。

 当社(株式会社リンク・インタラック)のメイン事業として、ALT(Assistant Language Teacher:外国語指導助手)を全国の小・中、高校に配置するビジネスを行っています。具体的には、全国、津々浦々な地域に3,000名以上のALTを配置しており、四半世紀にわたり教育の国際化をサポートしてきました。長らくこの事業を展開してきたことを通じて言えることは、現在の日本社会の中で外国籍人材が生活していくためには、言語的なサポートや生活のサポートが必要であるということです。実は我々が世の中のどの会社よりも早くそれを実感してきました。
 当社は従来より、ALTに対するサポート業務を行っていたのですが、今後、日本の中で外国籍人材に対するサポートサービスがもっと必要なのではないか、引いては「生活だけでなく就業する部分も包含した、日本で安心して暮らせるワンストップサービスが必要ではないか」という結論に至り、2016年10月にリンク・インタラックからスピンオフする形で立ち上げたのが、株式会社リンクジャパンキャリアです。
 この2社共に、現在の主な取引先が自治体ということもあって、一般企業とのやり取りが多い世の中の企業と比べると、まだまだITを活用する伸び代があると感じております。また、リンク・インタラックでは、同じ業務であっても全国にある支店で異なるやり方、フォーマットを用いて行っていることが業務分析を進める中で明らかになったこともあり、RPAの効果に関しては常々注目していました。

―今回、RPAの対象業務となった「ALTのガソリン代計算」の業務内容について教えていただけますか。

 3,000名のうち一部のALTは車で学校に通わなければならないエリアに配置となるため、ガソリン代の支給が必要になります。月によって稼働日数も違ったりするので、実は支給対象者毎に個別にガソリン代の計算を手作業で行っています。作業の手順は、オンライン上の地図ソフトで距離(自宅と目的地)を測定して、それをExcelに転記し、その距離から支給すべきガソリン代を算出する流れですが、現在はロボットにやってもらっています。

―RPAの対象業務の候補はすぐに決まりましたか。

 この「ALTのガソリン代計算」の業務をRPAに置き換えたいということはすぐに決まりました。理由は、業務が忙しい時期に、人手でやらなければならず、しかもミスが許されない。ミスをすると過大、もしくは過小なガソリン代を払ってしまうことになり、大多数の人がこの作業をあまりやりたくなかったのです。もちろん、ALTの皆さんにはちゃんと正しい金額をお支払いしたいので、「間違えずにやろうね」という思いはみんな持っています。しかし、この作業自体が非常に単純でかつ、大量のデータを長時間かけて人の手で作業する業務であることから、この作業に対してのモチベーションは決して高くなかったので、RPAの対象業務候補の一番になりました。

―RPA導入後の効果はいかがですか。

 現在は、取組み始めたばかりということもあって人的リソースで行った作業後のダブルチェックに使っています。人による作業を廃止し、全てをRPAに切り替えることも検討したのですが、地図ソフトの仕様制約や、社内で持っている住所情報の一部のデータが地図ソフトに適用しなかったりということがあり、まだRPAに100%切り替えてはいません。ただ、今までは人手で作業した後に、その検算も人手でチェックするしかなかったことを考えれば、「ロボットに助けてもらっている」というのが率直な感想でしょうか。ロボットは眠らないですから、夜間にこのダブルチェック業務を動かすこともあります。従来だとこの業務は「少しずつ量を分割して、なるべくスケジュールを前倒してやる」といったことでしか、負荷分散と正確性を担保する術がありませんでした。現在は、ある程度まとまった単位で夜間に実行できたりと、業務の可変性が高まった点は非常に効果があると思っています。何度も微調整を繰り返しながら、スタート・ノード社がプロアクティブに支援してくれたことで、今考え得る最高の効果が出ているとも言えます。

―今後の展開についてお聞かせください。

 今後の予定は、3,000名以上のALTを管理する労務管理システムと会計システムのシームレスな連携です。この2つのシステム間で、CSVファイルに書き出して、読み込んで、という業務が数多く残っておりますので・・。本来ならばこの2つのシステムを連携してしまえば良いのでしょうか、費用対効果も鑑みて、手軽なCSVでの連携を行っています。ただしそうすると人の手が介在しなければならず、もちろん、その中でミスも起こり得えますので、ロボットに担当してもらう範囲は増えていく(増やさなければならない)と感じています。
 私たちの会社のように、3,000名を超える従業員の労務管理、交通費管理となると、それ相応の管理工数がかかっているのは紛れもない事実です。この業務の効率化と正確性向上のためにロボットは切っても切り離せない不可欠な存在になっていくことでしょう。削減により生み出した時間で、学校や教育委員会、ひいては子供たちにもっと向き合うことができれば、リンク・インタラックとして今提供している価値をさらに高めていくことに繋がっていくと思います。
 また、リンクジャパンキャリアとしても、組織に所属する外国籍人材の生活サポートや人材紹介サービスにこの自動化の技術を提案していきたいと思います。外国籍人材が日本でキャリアを形成するというところにRPAは不可欠な存在になりつつあるとも言えますね。

―ありがとうございました。